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その16 主日の黙想 No.9
『彼女はすぐに起き上がって』
イエスが枕もとに立って熱を叱りつけられると、熱は去り、彼女はすぐに起き上
がって一同をもてなした。 〈ルカ四・三九〉
これは熱で寝ていた、シモン、すなわちペトロのしゅうとめをイエスさまがい
やされた出来事です。わたしは、この小さな物語が好きです。その理由はまず第
一に、この物語を伝えてくれた福音書記者ルカは医者であったと伝えられていま
すが、マルコでは、「手をとって起こされると、熱は去り」(一・三一)とされ
ているのに、「熱を叱りつけられる」だけでいやされたと記すところに、当時の
医術がどのようなものなのか、私はよく知りませんが、しかし医者たるルカの主
の「み言葉」への深い信頼を思うからです。この出来事の前、三五節で、イエス
さま悪霊を「黙れ、この人から出て行け」と叱ったのですが、同じように熱を叱
りつけたのです。それは同時に、人間を非人間化するものに対する主イエスの憤
りを伝えています。
そしてもう一つ、わたしの胸をうつのは、「彼女はすぐに起き上がって一同を
もてなした」と言うのですが、彼女は何事もなかったように、そしていつものの
ように食事の支度を始めた・・・・このことです。彼女は、きっと日頃自分がす
べきことをしているだけでしょう。しかし、その自分の仕事に直ぐ取りかかるこ
とによって、何より彼女は、イエスへの深い信頼と感謝を表わしているのではな
いでしょうか。「わたしを『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うこと
を行わないのか。わたしのもとに来て、わたしの言葉を聞き、それを行う人が
皆、どんな人に似ているかを示そう。それは、地面を深く掘り下げ、岩の上に土
台を置いて家を建てた人に似ている。・・・」、六章四六節以下で、そのように
イエスさまはお語りになっています。主イエスの言葉を信頼し、今自分の務めを
精一杯果たす、たとえどんなに取るに足らないことでも、そのことが、わたした
ちのどんな言葉より、真の力と権威をもったイエスをもてなすのに相応しいこと
を教えてくれるからです。いえ、どんな小さなことでも、今わたしにできること
があり、わたしに与えられる ― そんな喜びが溢れています。そんな彼女を
(そして、あなたも、わたしもまた)嬉しそうに見つめてくださっているイエスさ
まがおられます。
大和 淳牧師

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